永妻です。
『ふりかえって』の第三弾。
この世でたった三人しか知らない幻の作品(笑)
『テディベア』
『フレンチトースト』後、役者の柘植裕士さんを迎え、三人で何かやろうというお話に。
ちょうどその頃、父のワークショップの発表会が近づいていたので、エントリーして書き下ろしたのがこの作品。
なのですが、
発表会ではなく、公演という形で何かをやろうという展開になって、これは結局お蔵入り。
ちなみに、恩田和恵も別のチームでこの発表会に参加。
「一緒に頑張ろう」
という約束を見事に破る形になった展開でした。
★
こちらも短編。
一人増えて初の三人芝居。
実際に舞台にしたら、二十分くらいの話だったと思います。
結婚後に初めて書いた話でもあります。
(そういえば、『透明人間』から『フレンチトースト』の間に婚約してたんだった。)
この作品も含め、ここまでの短編のデータは残っておらず、
これに至っては稽古もしていないので、話の筋が特におぼろげ。
確か、
ホテルで缶詰になっている女小説家の元に、一人の編集者がやってきます。
彼はその物語が出来上がるのを同じ部屋で待ちます。
彼女が今書いている小説なのか、彼女の思い出なのかはわからないけれど、
もうひとつの物語が始まります。
ある雪の日に、一人の青年が怪我をして倒れています。
彼は誰かを待っています。
そこに女小説家によく似た人物が通りかかり、
彼に待っている理由を尋ねます。
それは彼女が幼い日に置き去りにした、テディベアの記憶。
彼はテディベアの記憶を持って、幼い彼女を今も待ち続けているのです。
その物語はやがて物語を飛び出し、ホテルの部屋にいる二人を呑み込んでいきます。
だったかと。
あまり自信がないですが。
フレンチトーストで、「フランス映画っぽい」という感想があって、
そこを伸ばそうとして書いた記憶があります。
台詞運びも構成も些か独創的過ぎて、
「わかる」「わからない」で言えば、かなりわかりづらい話だったと思います。
ラストは、
「あのテディベアの瞳の中に、私は今も閉じ込められたままなのだ」
という一行の台詞で、謎は謎のまま、不可解は不可解のまま、ばっさりと終わるっていう。
今はちょっとこんなことをする勇気はないですね。
してみたいのは、山々なのですが。。。
ちなみに、
これは家にあるテディベアを見て思いついたもの。
埃をかぶってじっとしているテディベアが、誰かを待ってるみたいに見えたことから始まったもの。
待つ時間って、不思議です。
誰かを待っている間って、これって誰の時間なんでろって感覚です。
その間、自分がしたいことをしていても、待っている以上、それは相手の時間なのかな。
それとも待っている以上、既に二人で共有してる時間なのかな。
っていう、曖昧さが、ちょっと興味深くて、そそられます。
いつか、「待つ」ことについて書いてみたいな、と思っています。
さてさて、次回はようやくappleApple第一回公演です。