柘植裕士です。
訳があって、今週はある映像を繰り返し観ておりました。
二年前に行われた劇団appleApple主宰・永妻優一氏の結婚披露パーティーの映像であります。
温かく、フレンドリーな空気に包まれた素敵な披露宴であったなあと、観直してみて改めて思った次第であります。
古くから新郎新婦に縁のある方々なら、この映像を観て式当日のことから昔の思い出へと遡っていくのではないでしょうか。
私の場合は逆だったんですね。
映像を観ながら、この二年間における優一氏との事が次々に思い出されていく。
実際、式にお招き頂いた時の私はまだ「新郎の最近できた友人」に過ぎなかったのであります。
同じワークショップでたまたま一緒にシーンをやる事になり、そこから徐々に親しくなっていき「一緒に何か面白い事をやりましょうか」そんな話をしていた時だったと思います。
ですから、式に招待して頂き、さらにビデオの撮影をさせて頂いた事が、氏とのその後の公私にわたる深い関わり合いの本格的なスタートだったんだなあと映像を観ながら感じ入ってしまいました。
その頃の私は数本の舞台を経験させて頂き、役者として欲が出てきたところでした。
優一氏は自作自演した二本の短篇戯曲が好評を博し、そろそろ長編をという気持ちだったと思います。
記憶を紐といていくと、挙式の翌月に初めての打ち合わせなるものをやったんではなかったでしょうか。
渋谷道玄坂の「ロイヤルホスト」で。
思えば、あの日が優一氏と私のコラボレーションの始まりであり、劇団appleApple(当時はまだこの名前もなかったが)の実質的第一作「204×205=5」への第一歩だった訳ですね。
この二年間は非常に濃密でした。
初めての打ち合わせの時に、かなり景気の良い話を随分した記憶がありますが、実際にそれらが現実のものになるという確信はやっぱりなかった訳ですから、この二年間で三本の作品を世に送り出したというのは凄いことだと思うんですね。そのうちの二本に関われたのは私にとっても誇りであります。
また、共に活動する一方でお互いに別の活動というのもあって、そこでまた新しい出会いやら再会やら刺激的な事がそれぞれあった。
今回の「崩壊」というプロジェクトには、そういった事も色濃く反映されていると思います。
その意味で「崩壊」は、「最初に迎える到達点になるべき作品」と言ったらいいんでしょうか。もちろん、その先はまだまだ果てしなくある訳ですが・・・。
しかし、そう考えると非常に感慨深いし、気合も入りますなあ。
一作ごとに精度を増してくる優一氏の本と演出に対して、私も「人生を賭けた演技」で応えなければならないという覚悟を新たにしました。
その意味で、この時期に披露宴のビデオを観直せたのは誠に勝手ながら個人的には正解でした。
改めて、優一氏と奥様に感謝申し上げるとともに、末永い幸せをお祈りするものであります。
お詫びしなければならない事もあるんですが(笑)、それは直接口頭で、はい。
とにかく明日、もう今日か!稽古よろしくお願いいたします!
柘植裕士